むかしむかし、あるところに、一羽のメンドリがいました。
「ごちそうだよ。みんなおいで」 メンドリはいつも庭をつっついて、エサを見つけてはヒヨコたちに食べさせていました。 ある日、メンドリは小麦粒が落ちているのを見つけました。
「これをまくと、たくさん小麦ができるのよ。ふやしてから食べましょう」 メンドリは、大きな声で言いました。「小麦のタネをまくの。誰か、手伝ってちょうだい」
でも、池で遊んでいたアヒルは、「ごめんよ、わたしはいそがしいんだから」と、ことわりました。 ブタは、眠そうに目を開けましたが、「あー、あー、あー」 あくびをしただけで、知らぬ顔です。 ひなたぼっこのネコも、首を振って。「いま、用があるのよ」 誰も手伝ってくれないので、メンドリは一人で小麦のタネをまきました。
やがて小麦が、たくさん実りました。
そこでメンドリは、みんなを呼びました。「小麦を、かり取るの。誰か、手伝ってちょうだい」
するとアヒルは、「いま、泳ぎをならっているところ」と、言いました。 ブタは、「ぼく、今はごちそうを食べているので、いけないの」 ネコは、「わたし、毛皮をみがいているの。だめよ」 しかたなくメンドリは、1人でせっせと小麦をかり取り、粉屋さんに持って行きました。
間もなくメンドリは、まっ白になった粉の袋をかついで帰ってきました。
そして、大声で言いました。「おいしいパンを焼くのよ。誰か、手伝ってちょうだい」
すると、アヒルは、「そんなめんどうな事は、大きらい」 ブタは、「そんなしんどい事は、大きらい」 ネコは、「そんなじゃまくさい事は、大きらい」 誰も、手伝ってくれません。 しかたなくメンドリは、1人でパンを焼きました。
とってもいい香りのパンが、焼き上がりました。「さあ、子どもたち。パンを食べましょう」
メンドリとヒヨコたちがパンを食べ始めますと、みんなが集まってきました。
アヒルが、「おいしそうね。そのパンを、わたしにもくださいな」 ブタが、「うまそうだな。そのパンを、ぼくにもくださいな」 ネコが、「いい香りね。そのパンを、わたしにもくださいな」 すると、メンドリが言いました。「いいですよ。このパンを作るのを手伝ってくれた人から、順番にあげます。さあ、誰が最初に手伝ってくれましたか?」
それを聞いて、アヒルもブタもネコも、恥ずかしそうに帰って行きました。
おしまい
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